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社名年金積立金管理運用独立行政法人
設立平成18年4月1日
本社所在地〒105-6377 東京都港区虎ノ門1-23-1 虎ノ門ヒルズ森タワー 7階
代表者理事長 宮園 雅敬
資本金1億円(全額政府出資)
主管省庁厚生労働省(年金局資金運用課)
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GPIF(Government Pension Investment Fund)とは

厚生年金保険事業及び国民年金事業の安定に資することを目的としている組織です。
年金積立金管理運用独立行政法人の略称はGPIF(Government Pension Investment Fund)です。

公的年金制度と年金積立金

公的年金制度について

GPIFが担う年金積立金の管理・運用は、公的年金制度の一部です。まずは日本の公的年金制度について説明します。

公的年金って?

「歳をとって働けなくなる」「病気や事故で障害を負う」「一家の大黒柱をなくす」などの人生のリスクに備えて、国民みんながお金を出し合う助け合いの仕組み(保険制度)です。特に日本の社会においては、高齢者の暮らしを生涯にわたって支えるものとして、とても大切な役割を果たしています。

年金制度を持続可能にするための仕組み

日本の公的年金は現役世代が納める保険料で、その時々の高齢者世代に年金を給付する「賦課(ふか)方式」です。少子高齢化が進むなか、年金制度を持続可能なものとするために、以下のような仕組みを取り入れています。
①保険料の上限を固定少子高齢化が進んでも現役世代の負担が重くなりすぎないよう、厚生年金の保険料率は18.3%(労使折半)、国民年金の保険料は16,900円(2004年度価格)に固定されています。②基礎年金の半分は国庫負担基礎年金の給付費の2分の1は税金(国庫負担)でまかなわれています。③年金積立金の活用将来世代の給付に充てるため、今後おおむね100年間で、積立金を計画的に活用します。④人口や寿命の伸びに合わせて給付水準を自動的に調整現役人口の減少や平均余命の伸びなどそのときの社会情勢に合わせて、年金の給付水準を自動的に調整する「マクロ経済スライド」が導入されています。
年金制度を長持ちさせる取り組みのうち、GPIFは③の年金積立金の活用に備え、積立金の管理・運用を行っています。

年金積立金の管理・運用のしくみ

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は厚生労働大臣から寄託を受け、年金積立金の管理・運用を行います。そして、その収益を国庫に納付することにより、厚生年金保険事業及び国民年金事業の運営の安定に資することを目的としています。
また、GPIFは、長期的に維持すべき資産構成割合(ポートフォリオ)を定め、これを適切に管理するなど、安全かつ効率的な運用に努めることとしています。

オルタナティブ資産の運用とは

運用目的

オルタナティブ資産は、伝統的な投資対象である上場株式、債券とは異なるリスク・リターン特性を有しており、株式市場等の価格変動の影響を受けにくいことから、ポートフォリオに組み入れることにより運用の効率性の向上及び年金財政の安定に寄与する効果が期待できます。また、一般的にオルタナティブ資産は、伝統的資産に比べて流動性が低い一方、その分利回りが高いとされています。GPIFは長期の投資家であり、豊富な流動性資産を有していることから、流動性の低いオルタナティブ資産をポートフォリオに組み入れることで、超過収益を獲得することを目指しています。

海外の年金基金では、このような特性・効果をもつオルタナティブ資産の運用を行うことによる分散投資を推進しています。2020 年度から始まったGPIFの第4期中期計画では、資産全体の5%を上限にオルタナティブ資産(インフラストラクチャー、プライベート・エクイティ、不動産)の運用を行うこととされています。オルタナティブ資産の運用は個別性が強く、また、流動性の低さからも投資評価時及び投資実行後のリスク管理は重要な課題であり、引き続きリスク管理を含めた運用体制の強化に努めていきます。

インフラストラクチャー(インフラ)投資

インフラストラクチャー(インフラ)投資とは、電力発送電、パイプライン、鉄道などのインフラへの投資をいい、長期にわたり安定した利用料収入が期待できることから、海外の年金基金ではインフラを対象とするファンド等への投資が有力な投資手法となっています。

インフラ投資の中でも、特に社会・経済活動に不可欠で、当局による規制環境等が確立されており、長期契約に基づく安定した利用料収入等が期待されるものを「コア型」といい、主な投資対象としています。投資したインフラ資産は、一般的に10 年以上の長期にわたり保有されます。当該投資資金は、安定した利用料収入を源泉とする配当や、最終的には、他の投資家への売却などにより回収されます。

〈インフラ投資事例1〉
風力発電施設 ―ポルトガル―
欧州を投資対象とするインフラファンドから、ポルトガルにおける大手風力発電事業会社へ投資しています。同社は、27箇所の発電施設で構成され、合計1,082MWの発電力を有するポルトガルで2番目に大きな風力発電施設のポートフォリオを運営しています。発電した電気を、固定価格買取制度を利用して売電し、長期的に安定した収入を得ています。

〈インフラ投資事例2〉
鉄道事業会社 ―オーストラリア―
オーストラリアを投資対象とするインフラファンドから、鉄道事業会社に投資しています。同社はシドニーの公営鉄道会社が運行する車両の設計・製造・保守管理業務を受託していますが、既に設計・製造は完了しており、現在は保守管理を実施しています。公営鉄道会社との長期契約に基づく安定的な収入が期待されます。

〈インフラ投資事例3〉
太陽光発電施設 ―日本―
ゴルフ場の跡地を活用して建設された稼動済の大規模太陽光発電施設(メガソーラー)を保有するファンドへ投資しています。発電された電気は固定価格買取制度を利用して売電されることから、長期にわたり安定的な収入を得ることが期待されます。本発電所に隣接する施設からは122,000 枚以上のソーラーパネルが一望でき、地域住民や訪問者が発電施設を見学できるようになっています

プライベート・エクイティ(PE)投資

主に非上場企業の株式(プライベート・エクイティ(PE))を投資対象とするファンド(PEファンド)への投資です。PEファンドは一般に、投資時期を分散しながら様々なステージにある投資対象企業を発掘し、投資を実行します。PEファンドの投資手法には、バイアウト(投資実行後に投資先企業の経営改善やガバナンスの向上等を通じて企業価値を高めようとするもの)、グロースエクイティ(事業拡大期の企業に成長資金を供給するもの)、ベンチャーキャピタル(成長が見込まれる新興企業等を投資対象とするもの)、ターンアラウンド(経営不振企業の債務のリストラクチャリング等を行うもの)、プライベート・デット(非上場企業が発行する債券や非上場企業に対するローン等への投資)などがあり、これらにグローバルに分散して投資します。

運用方針

創業、成長、発展、再生といった、通常の上場株式への投資ではカバーしきれない様々な企業ライフステージにある非上場企業の株式等へグローバルに分散投資を行うことにより、投資ポートフォリオ全体の分散効果を高めリスクの低減に貢献します。また、PEファンドによる経営支援等により企業価値が増大することで、中長期的に上場株式運用を上回る投資リターン確保を目指します。

投資対象と運用スタイル

非上場企業の株式(プライベート・エクイティ)及び非上場企業が発行する債券や非上場企業に対するローン(プライベート・デット)等への投資を行います。

(ⅰ)新興国プライベート・エクイティへの投資
2015 年6 月から、世界銀行グループの一員である国際金融公社(IFC)及び日本政策投資銀行(DBJ)との共同投資協定に基づき、新興国の消費関連企業等のプライベート・エクイティに投資しています。
新興国上場株式市場への投資は時価総額が大きく先進国景気に連動しやすいテクノロジーやITセクターが多くを占めますが、新興国の非上場株式、特に今後の人口動態や経済発展によって高い成長が見込め、より内需に連動した消費関連企業等への投資を行うことにより、GPIFの新興国株式投資ポートフォリオの業種の偏りを改め、バランスよく世界経済の成長の果実を獲得することを目的としています。

(ⅱ)先進国を中心としたグローバル・戦略分散型の投資
プライベート・エクイティ投資の投資環境が整備されている先進国を中心に、グローバルに様々な企業ライフステージやセクターに、複数の戦略手法を組み合わせて分散投資を行います(実際の投資は公募によって選定された運用受託機関を通じて行われます)。
米国では上場株式市場全体の時価総額よりも非上場株式全体の時価総額の方が大きくなっているとも言われており、先進国を中心とした経済成長や産業の拡大、企業価値増大を幅広く捕捉し、投資ポートフォリオ全体のリスク・リターン効率の向上を目指します

不動産投資

GPIF が行う不動産投資では物流施設、オフィス、賃貸住宅、商業施設等の実物不動産に投資を行っている不動産ファンドを対象としています。

その中でも入居テナントからの継続的・安定的な賃料収入が期待される投資戦略(「コア型」)を採用しており、これは海外の年金基金でも有力な投資手法となっています。一方で不動産マーケットにはサイクル(需給関係・金融情勢等による価格の変動)があること、また案件あたりの投資金額が比較的大きくなる傾向もあることから、投資のタイミング・対象種別等を分散させること(分散投資)が重要となります。また、管理運営を適切に行える専門会社(アセットマネジャー、プロパティマネジャー等)も十分に活用し、その長期的資産価値を維持する体制も必要です。GPIF では、以上のような不動産投資の特性を踏まえながら、慎重かつ計画的に投資を進めています。

〈不動産投資事例1〉
オフィス ―欧州―
ロンドン、パリ、その他欧州主要都市に所在する複数のオフィスからなる分散されたポートフォリオを保有するファンドへ投資しています。本件は、米国及び欧州を代表する機関投資家との共同投資という形態をとっており、投資先資産の長期保有を企図したファンドです。保有物件では、エネルギー消費量や二酸化炭素排出量の削減等の取組を通じて、サステナビリティにも配慮した運営がなされています。

〈不動産投資事例2〉
オフィス ―日本―
東京都渋谷区の中心に立地する新しく竣工した大型複合施設(文化・商業含む。)のオフィス部分を保有するファンドに投資しています。大手 IT 企業及び関連グループ企業が入居し、長期賃貸借契約を締結しています。

〈不動産投資事例3〉
物流施設 ―欧州―
欧州に所在する物流施設を保有するファンドへ投資しています。主要大都市圏や流通の要衝となる市場を重点的な投資対象としており、このファンドを通じて保有する施設において、従業員の健康や快適性に配慮した施設に認証されるWELL Certified™ Goldを取得しております。

〈不動産投資事例4〉
物流施設 ―日本―
神奈川県川崎市に立地する大型物流施設を保有するファンド(大手運輸会社と長期賃貸借契約を締結中)へ投資しています。eコマースの発展に伴い需要が拡大している物流施設の中でも、大消費地である都心に近接する立地の大型物流施設は希少性があります。

運用方針

「コア型」の不動産ファンドを中心とした分散投資を、市場環境を踏まえ、タイムリーかつ効率的に行うことを通じて、インカムゲインを中心とした安定的なリターンの獲得を目指しています。

投資対象とスキーム
主に稼働中の不動産を裏付とするエクイティ(投資持分)及びデット(債権)への投資を行います。
(ⅰ)投資一任(ファンド・オブ・ファンズ形式)
2017年度に選定した国内の運用受託機関に加えて、2018年度及び2020年度に新規採用した海外における不動産投資の運用受託機関において投資が進捗し、「コア型」中心のグローバルな分散投資ポートフォリオが構築されています。

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